職人の葺き方によって軒の表情も大きく変わるのも間違い。
○「軒の断面に拘りがある」
江戸末期に建てられた、茨城県石岡市の○○邸。
この家の母屋には、他のかやぶき屋根にはない特別な軒の装飾があります。厚さおよそ1メートルもある、深くせり出した軒。そこには、色の違う茅が交互に積み重ねられ、層を作っています。
黒が入るとすごくきれいに見えます。それで考えたのが、軒付けに一番下はわらでその次にこういう古茅(ふるかや)って言うのを使ったらば、白黒で装飾的なことを考えて、この古茅をわざわざ黒いのを使う。装飾性の強い、芸術の粋まで達する軒先の葺き方である。
さらに、軒にひしぎ竹を割って埋め込み、豪華さを出しました。古い茅を市松模様の並べて葺いたり素晴らしい手仕事を見ることが出来ます。
特に?茨城県人の性格として、うちの職人はこんな棟仕舞いや軒飾りが出来るとか、うちの職人は、また別な葺き方や棟仕舞が出来るとか、生活に余裕があると、どうしても良い職人を呼んで来て、あの家には負けない様に豪華の葺き上げてくれ!何て競争心も有ったのでは?無いだろうかと考える。
職人達は、自分が手がけた軒に飾りを施した。こちらの家の軒には、家主の幸福を願って「鶴と亀」 軒は、屋根を葺いた職人が、仕上げの美しさを際立たせるところ。その断面に、職人たちの頑固な拘りが隠されています。
○築数百年のかやぶきの民家の天井裏を見上げると、独特の色と艶を持つ、重厚な木の骨組みが見えます。
民家の天井を見上げた時、太い丸太が見えます、その丸太が構造上の一番大事な部分で、その丸太は建築当初の時代から現在まで残っている。その梁や小屋組みの色合い、そう言う所を見ていただきたいと思います。屋根裏の木材は長年煙でいぶされることで黒い艶を放ちます。
屋根に葺かれる茅の重さは、大きさにもよりますが、数トンにもなり、その重さを受け止めているのが「さす組み」と呼ばれる三角形の屋根組みです。 斜めに組まれた「さす」と呼ばれる木材は、水平に置かれた梁(はり)に45度の角度で固定されています。梁が、「さす」から伝わる重みをしっかりと支えているのです。さらに、屋根裏には、釘はいっさい使われていません。丸太や竹は釘ではうまく固定できないからです。
代わりに使ったのは縄です。「いぼ結び」という特別な結び方です。この「いぼ結び」は、一度結ぶと、自然に緩むことはなく、硬く締まって行くと言われます。
囲炉裏や釜場の煙に数百年さらされ長年経つと、もう針金以上に稲わらが硬く締め付けられるからもう絶対緩むことは無いと言います。いぼ結びじゃなければ、普通にただ結わいただけじゃちょっと無理だと言う。
○囲炉裏(いろり)から出る煙は屋根裏をさらに堅固なものにします。煙に含まれる、有機化合物が縄に少しずつ染み込み、結び目を固めていきます。また煙には、防虫効果もあります。そのため、虫がつかず、茅が長もちします。煙にいぶされた天井の竹は、小豆色に変わり、美しい光沢を帯びるようになります。
こうした竹は、スス竹と呼ばれ、竹かごなどの工芸品の材料として重宝されてきました。最高のスス竹を使って編み上げられた竹かご。時の重みを感じさせる深い色合いです。しかし最近では、このスス竹が高価に取引きされています。
煙にいぶされ続け、黒い艶をまとった屋根裏の小屋組み。長い間、家族の営みがあり、その屋根の下に人が生活して来た事で生まれる飴色です。
※生活の知恵が詰まった、日本のかやぶき屋根の民家達はは、日本人の持つ「美意識」も一緒に育んで来たのです。
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